どうも、niraです。
前回は、米国株11セクターのうち「資本財セクター」「一般消費財セクター」「生活必需品セクター」について説明をさせていただきました。
今回第2回は、「ヘルスケア」「公共事業」「情報技術」「エネルギー」について、セクターごとの詳細と代表的な銘柄をあげていきます。
■ヘルスケア
ヘルスケアセクターはその名の通り、「医薬品」「医療機器」「バイオテクノロジー」といった業種の銘柄で占められています。
このセクターの大きな特徴として、「過去50年規模のリターン」が全セクターの中で1位、だということです。つまり過去を振り返ると全セクターの中でヘルスケアセクターが圧倒的に儲かっていたのです。
米国株投資家なら恐らく誰でも読んでる「株式投資の未来」という超有名な長期投資推奨本があるんですけど、その著者であるシーゲル教授が、1957年~2003年までのセクター別実質リターンを地道に調査していった結果、ヘルスケアセクターが全ての中で一位という結果だったことは有名な話です。
同期間のS&P500指数のリターン(つまりアメリカの全産業のリターンの平均)が年率約11%だったことに対して、ヘルスケアセクターの同期間のリターンは年率約14%であることからその凄さが理解出来るかと思います。
このセクターの代表的な銘柄としては、
・ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)
・ファイザー(PFE)
・ユナイテッド・ヘルスグループ(UNH)
⇛総合ヘルスケア企業ですが、医療保険サービスの提供が有名。アメリカの医療保険制度が公的機関ではなく民間に依拠しているのは知られていますが、同社は医療保険サービスで米国最大手の一角に位置しています。政治にも深く入り込んでいる、相当に大きな企業です。
・メドトロニック(MDT)
⇛米国の大手医療機器メーカー。現在の形の心臓ピースメーカーの開発企業として知られています。
「バイオテクノロジー」>「医薬品」>「医療機器」といった具合に、株価のブレが大きくなる印象で、実はセクター全体としては景気にあまり影響を受けない「ディフェンシブ株セクター」なのですが(医療需要は景気に関係なく常に存在するため)、個々の企業で見たらかなり株価成績の上下動が激しいです。
これは医薬品メーカーの「当たればでかいが(新薬が)何も出来なければ儲けにならない」という構造上の話もありますし、また「医療」を扱う手前訴訟リスクが非常に高いことも原因になります。
僕はポリシー上、ジョンソン・エンド・ジョンソンという個別株に投資をしておりますが、色々と会社を調べたりが面倒だ、というような方はヘルスケアセクターにまるっと投資出来るETF(VHT等)に投資をした方がヘルスケアセクター特有のリスクに肝を冷やすことも少ないかもしれません。
■公共事業
公共事業セクターは読んで字のごとく、公共事業つまり「電気」「ガス」「水道」等のインフラにまつわる事業を行ってる会社群です。
代表的な銘柄としては、
・ネクステラ・エナジー(NEE)
⇛フロリダ州を拠点とする、電力・ガス会社
・デュークエナジー(DUK)
⇛アメリカ北部を主に事業領域とする、電力・ガス会社
・アメリカンステイツウォーター(AWR)
⇛カリフォルニア州を拠点とする、水道会社(アメリカでは州によって水道事業が民営化されています)。抜群の経営安定性を誇り、連続増配年数は驚異の64年と異常とも言える数字を叩き出しています。
セクターの特徴としては、とにかく固いセクターです。最も景気に左右されづらいセクターと言えるでしょう。
そのため大きな下落は少ないものの、大きな成長も見込めないと思っていいです。
ただ、事業そのものは非常に安定しているため、配当の安全性・確実性も高く、微増ながら増配しつづけている会社も多いため、手堅い運用を考えている方にとっては無くてはならないセクターかもしれません。
■情報技術
いわゆるIT企業、なんですが、どちらかといえば「コンピューター」に関連したセクターと言えます。(ちなみに「インターネット」に関連した企業は通信サービスに含まれる傾向にあります)
IT関連は垣根があってないようなものなので、業種でくくろうとするとあまり賢くないかもですが、「ハードウェア」「ソフトウェア」「通信機器」「半導体」といった事業がこのセクターに含まれます。
代表的な銘柄としては、
・マイクロソフト(MSFT)
・アップル(AAPL)
・VISA(V)
・シスコシステムズ(CSCO)
・インテル(INTC)
・IBM(IBM)
などです。もはや説明不要ですよねw
セクター全体の特徴としては、とにかく時流と会社そのものの勢いの影響が非常に大きい「景気敏感株セクター」です。
IT企業の特徴として、配当利回りが全体的に低い傾向にありますが、会社として調子が良い時の成長力が半端ないので、増配率は高い企業が多いです(良い時は一年で10%以上平気で上がる)
とはいえ、景気が落ち込んだり、会社として調子が落ちて来た時は容赦なく売られますし、わりとあっさり減配しがちなのも特徴の一つと言えます。(リーマンショックの時はセクター全体で20%以上減配になりました)
上がった時の魅力が高い分、初心者が手を出しがちなんですが、正直投資に慣れてない人には操縦が難しいセクターかなと思ってます。
■エネルギー
エネルギーセクターは、いわゆる「石油」「天然ガス」事業会社をメインとするセクターです。エネルギーの「採掘・開発」から「輸送」「販売」段階においてそれぞれ大きな会社が存在するセクターです。
代表的な銘柄としては、
・エクソンモービル(XOM)
・シェブロン(CVX)
・コノコフィリップス(COP)
⇛上記2つと共に石油メジャーと呼ばれる総合石油企業達。
・シュルンベルジェ(SLB)
⇛油田探査用の機器を手がけている、開発・探査支援事業会社の最大手。
などがあります。
石油メジャーと呼ばれる企業は大体が石油の採掘・開発(上流)から精製、そして最終的な販売(下流)まで一気通貫に出かけているところが多いです。また石油関連商品を手がけていたりもします。
エネルギーセクターの特徴としては、とにかく原油価格に依存しまくってるところが挙げられます。
原油次第でいかようにも成績が振り回されてしまうので(各社リスク分散のために色々方策はとってますが)、原油価格は国家間の様々な思惑に左右されながら、予想外の動きを常に見せ続けるので長期的にもあまり安定感は無さそうなところがたまに傷。かなりの「景気敏感株セクター」と言えるでしょう。
ただそういう背景からか、セクター全体が常に過小評価されがちであり、企業単体の実力(業績、配当)と比較しても株価が安くなってしまう傾向にあります。
その歪みを狙う意味でエネルギーセクターに投資を行う意義はあるかと思います。
とは言え、前述の通り基本的にはリスクの大きなセクターですので投資は計画的に。
僕も同セクターでは比較的「優等生」かな、と思われるエクソンモービルという個別株に投資をしていますが、そもそも触れない、というのもありかもしれません。
というわけで、今回はこのへんで。
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